僕の背後にナリスマシ

 妙高と周治は缶ビールを飲んだ後、自分たちの好みの洋酒をストレートで飲みはじめた。周治はスコッチウイスキーをショットグラスに注いでちびちびやり始めた。 妙高はお猪口にジン注ぎ舐めるような飲み方だ。それを見ながら周治は ニヤニヤしている。
「本当に嫌味な奴だな。パープルへの当てつけか。」
と笑いながら言った。妙高は言い返す。
「どっちが嫌味な奴だ。お前が言葉にしなければパープルはわからないぞ。盗聴器があってパープルに伝わるように言うんだからお前の方が嫌味だろ。」
「それはそうだろ。ここまで嫌がらせされてるんだ。ボロカス言って酒の肴にしてやるよ。」
「それしかないな。明日のラジオが楽しみだ。」
「 おいおい、楽しんでも仕方ないだろ。ストーカーはするわ、盗聴はするわ、盗撮もやってそうだしな。」
「多分もうされてるな。仲間内で動画のやり取りしてるんじゃねえのか。」
「 その仲間には警察官も含まれてるのかい。」
「そこまで言うか。」
「いや、言った方がいいだろ。 盗聴してる奴へのサービスだ。」
「民主国家は三権分立と言うけど、今は四権分立の正四面体だな。」
「なんだ、それ。」
「司法・立法・行政・マスコミ、この四つを同じ長さの直線で結んだら正四面体ができるだろ。」
「正三角形四つのやつか。」
「明日、法螺吹きパープルが怒り狂うな。」
「DJ達全員が怒り狂いそうだ。元々俺たちは日本酒も焼酎も飲んでたのにな。」
「だけどパープルの飲酒運転発言で焼酎は二度と飲まねぇと決めた。」
「パープルは焼酎のコマーシャルやってっからな。」
「俺はあのコマーシャル、パープルだってわかんなかったぞ。どっかのおっさんぐらいに しか見えなかった。」
「 どっかのおっさんだろ。盗聴してたら今頃携帯を床に叩きつけていそうだ。」
 妙高と周治は盗聴するならしてみろと言わんばかりに好き勝手に喋りまくった。