貪欲に愛を欲す

「助けて貰って悪ぃが、
ここは危ねぇ。嬢ちゃんは早く帰れ。」

と、言葉を続ける彼。

血だらけにはそれ相応の理由があるんだ。
コクリと頷いて、立ち上がる。

傷ついた人に気の利いた言葉も言えないことに、
自分の不甲斐なさを感じるが、
家に帰ろうと後ろを向いた瞬間、
私の口に当てられたハンカチ。


…え、これ、なにっ!?

声も出ない私は、抵抗をすることより先に
意識がぼやけていく。


意識を失う前に、
金髪の彼が「違ぇっ、そいつは関係ねぇっ!」

と、焦ったような声で叫んだような気が、する。








気を失う直前に思ったのは、
ホント私の人生ついてないなぁってこと。

幸せなんて感じたことも無い人生だった。
毎日毎日生きていくことに必死で。
そんな必死な毎日の中で、“麗”を愛してくれる人を探して。
結局いないじゃん、なんて絶望して。

けど、それらは全て彼に出会う為の試練だっとするならば。
来世でも、私はそれを喜んで受け入れよう。


貴方に出逢えて良かった。
今日も最悪な日のはずだったのに、
まさか、運命の日になるなんて。

この時の私は思いもしなかった。