貪欲に愛を欲す

「…名前は?」

「美作、麗です」

少し身体を離すとニコリと笑ってくれた彼。

「麗、か。」
…何、これ…

名前を呼ばれただけなのに、
胸がどくどくと波打つのが分かる。
身体中が熱くなる。

ぎこちなくコクリと頷くと、
ポンポンと頭を撫でてくれた。

「…麗、何が欲しい?」


…はい?顔を上げると、嬉しそうな顔をしている彼に、つい首を傾げてしまう。
何が欲しいって、何って何…?

「なんでも言え」なんて続ける彼。

欲しい、物か…
財布?バッグ?服?靴?お金?

残念ながら、物欲は皆無の私。


ただ、欲しいもの…
本当に、なんでもくれるなら、ば。

ずっとずっと欲しかったもの。
ずっとずっと探してきたもの。

「…愛。私のこと、愛して、大切にして欲しい」
…言ってしまった…

何だかこれでは悲劇のヒロインでは無いか。
そう思うけれど、目の前の彼には嘘をつけない気がしたのだ。

男を吹っ飛ばしたところとか、
鋭い目の恐怖もあるし、
何より、温かい彼に嘘はダメだと思ったんだ。


「俺からのか?」

少しして、聞こえた声。

首を横に振る。
「誰でもいい…」