貪欲に愛を欲す

「…別に、…違いま、す…
私、こーぃう、の慣れてるん、で…」
消え入る声。
頬に何かが伝うのが分かる。

…え、これ…なみ、だ?


…本当はわかってた。
男に犯されるのも、日常だって当たり前だって気持ちいって思わなきゃ自我を保てなかったこと。
だから、無理やり思っていた。

けど、本当は辛かったんだ。

誰かに愛して欲しかった。

誰かに、本気で大切にされたかった。

慣れてるんじゃない。知らない間に慣れさせられてたんだ。

そんな自分が、嫌で嫌で仕方がなかったんだ。


「泣く、な…」

震えるような声が聞こえて、
瞼を開けると、さっきまで睨みつけていたはずの男が泣きそうな顔で私を見ていた。


…なん、でこの人が泣きそうなの?

私が何も言えずにいると、
彼は私の涙を指で拭ってくれた。

そして、あろうことか、
私をスーツごと起き上がらせて、抱きしめてくれた。


いきなりの展開に頭がついていかない。


…でも、この人の匂い、すごく、落ち着く…

抱きしめられたことなんて何年ぶりだろうか。
温かすぎる人の温もりに、
違う種類の涙が出てきた。