エレベーター

あたしはスマホを握りしめたままゆっくりと教室内を歩いた。


机や黒板に触れてこれが夢ではないことを確認する。


「まだ5時なのに誰もいないなんて……」


廊下へ出て他のクラスを覗いてみても、やはり誰もいなかった。


そして階段の手前に下ろされた重たいシャッター。


昨日と全く同じ状況だ。


愕然と立ち尽くしてしまったとき、充弘から電話が来た。


『今学校に付いた。教室にいるんだろ?』


「うん……」


頷きながらも、嫌な予感が加速する。


充弘はもうすぐあたしを助けに来てくれるだろう。


だけど、本当にここへたどり着く事ができるのだろうか?


もしもたどりつけなかったら……?