エレベーターの中にいる誰か。


それが何者なのか全く見当はつかなかった。


なぜあたしばかりが何度も恐ろしい目に遭うのかもわからない。


「だけど、その誰かは美知佳を殺したりしてないよな」


充弘が真剣な表情で言った。


「確かにそうだよな。幽霊だとしても怖い目に遭うだけで、それ以上のことがない」


幸生が呟く。


それは一体どういう意味があるんだろう?


「それに、エレベーターの中から出れば現実世界に戻ってくることができてる。それって、美知佳に危害を加える気がないってことじゃないか?」


幸生の言葉にあたしは黙り込んでしまった。