エレベーター

お母さんはパートへ出ているけれど、6時には終わるからそろそろ連絡がつく時間だった。


それにしても、古い校舎は相変わらず気味が悪い。


お母さんの迎えが来るまで校舎内で待つにしても、少し移動しておこう。


そう思って再び歩きはじめた時だった。


グィーン……。


それは雨音に混ざって微かに耳に聞こえて来た。


あたしはまた立ち止まり、周囲を見回す。


なにか機械が動き出したような音だった。


周りにある教室は家庭科室に音楽室に木工室。


どれも部活動で使用する部屋なので、今日は誰もいないはずだった。


あたしは知らぬ間に息を殺して辺りを確認していた。


どの部屋にも先生用の準備室にはパソコンなどが設置されている。


でも、今の音はパソコンの動作音とは全く違うものだった。