エレベーター

この窓からはグラウンドも昇降口も確認できる。


一穂が言う事が本当なら、ここから3人の姿を確認することができるはずだった。


「一穂、どこにいるの?」


窓の外を確認してみても、それらしい姿は見えない。


それ所かグラウンドにも道路にも、人の姿が見えなかった。


『昇降口の前だよ。今B組を見上げてる』


そう言われてもう1度確認してみたが、やはり3人の姿は見えなかった。


次第に焦りを感じ始めて何度も教室内を見回した。


なんの変哲もない教室のはずが、今はあたしを取り囲む牢獄のように見えた。


「一穂たちの姿はどこにも見えないよ? 本当にいるの?」


『いるよ! B組から覗いて見てよ!』


その言葉にあたしは一瞬にして凍り付いた。


あたしはさきからずっと、B組の教室から下を覗いているのだから。


「あたし、ずっとB組の窓辺にいるよ?」


『嘘……どこ?』


「教卓に一番近い窓だよ」


『どこ? 全然見えないよ!?』


一穂の声が焦り始めている。