エレベーター

1人で途方に暮れそうになっていた時だった。


不意にポケットの中のスマホが震え、それは一穂からの着信だった。


『美知佳、今どこにいるの?』


「どこって、校舎の中だよ。一穂はどこにいるの?」


『あたしは充弘と幸生の2人と一緒に外にいる。でも、なんか変なの』


「変って?」


あたしは返事をしながらB組以外の教室を覗き込んだ。


どこの教室にも生徒の姿はない。


『あたしたち、気がついたら学校の外に立ってたの。今、昇降口の前にいる』


「え……?」


『みんなとホームルームをしていたはずなのに、急に記憶が飛んでるの』


その説明にあたしは眉を寄せた。


それじゃまるで、あたしと同じだ。


ただ、あたしの場合は校舎内に残されてしまった。


あたしは自分の状況を簡潔に説明し、B組に戻ると窓へと近づいた。