エレベーター

☆☆☆

「美知佳、休まなくて大丈夫なのか?」


翌日、1年B組の教室へ入ると真っ先に充弘が駆けつけてくれた。


それはとても嬉しかったけれど、昨日ことを思い出すと複雑な気分だった。


「うん。もう体調は悪くないから」


そう言ってほほ笑んで見せても、自分の頬がひきつっているのがわかった。


「無理はしない方がいいぞ?」


「ありがとう充弘」


あたしは何度も頷いた。


そうすることで自分自身も安心できる。


「先輩が言っていた噂は本物だったんだな」


幸生が深刻そうな表情で言った。


「もうエレベーターには絶対に近づかない方がいい」


それところか、あたしはもう古い校舎へ向かうもの嫌だった。


昇降口までの距離が少し遠くなっても、あたしは新しい校舎を歩いて行くだろう。


「それより、もっと他の話がしたい」


あたしはそう言い、半ば強引に話を終わらせたのだった。