エレベーター

普段から新しい校舎を選んで移動しているからついそちらへ足が向いたけれど、少しでも早く帰るなら古い校舎の階段を選んだ方がいい。


振り向いて廊下の奥へ視線を向ける。


薄汚れた廊下の奥は今日蛍光灯が切れたばかりで交換されておらず、真っ暗だ。


でも、そこはついさっきあたしが上がって来た場所だった。


太陽が陰ってしまったから余計に暗く感じるけれど、実はどうってことはないのだ。


あたしはスマホのライトを点灯させて暗い廊下へと向かった。


学校の外ではゴロゴロと雷が聞こえ始めてきている。


その音に急かされるようにあたしは階段を駆け下りた。


じっとりとした空気があたしの体に絡み付き、ともすれば足が止まってしまいそうになる。


それを必死で気づかないふりをして前へ前へと進んでいく。