途端にスマホの画像が上下に大きくブレた。


一穂たちが走って校舎へ入ってくるのが見える。


よかった……。


ホッと胸をなで下ろした、次の瞬間だった。


チンッと小さく音がしたのだ。


それはまるでエレベーターが指定された階に停止したときのような、そんな音だった。


あたしはその場に硬直したまま、視線だけエレベーターへ向けていた。


すると……。


ずっと開かなかった扉が。


溶接されているはずの扉が。


ゆっくりと……音も立てずに開いたのだ。


「ひっ!」


小さく息を飲み、手に持っているスマホを壊れるほどに握りしめた。


扉の向こうには四角い空間が広がっていた。


天井からはオレンジ色の頼りない光が降り注いでいる。


それはぼんやりと箱の中を照らしだしているが、四方の隅にまでは行き届かず闇に隠れている部分もある。