『嘘だろ、本当かよ……』


幸生が深いため息と共に言葉を吐き出した。


『ヤバイぞ美知佳。すぐに出て来い!』


充弘が焦った声で言う。


そうだ。


ここでのんびりしている場合じゃない。


すぐに逃げないと。


どうにかして足を動かそうとするが、やはり何者かに拘束された両足はビクともしない。


「大丈夫だから、お願いだから動いて……」


口に出して念じながら太ももを叩く。


そうすることで足にしがみついているなにかが離れてくれると信じて。


しかし、足は動かない。


次第に背中に汗が流れ始めた。


本当にこのままここから動けないんじゃないかという恐怖心が湧き上がって来たのだ。


『美知佳大丈夫? 迎えに行こうか?』


一穂の言葉にあたしは大きく頷いた。