エレベーター

気持ばかりが焦ってなかなか3階の教室までたどり着かない。


気が付けば息が上がり、はぁはぁと口で呼吸をしている。


どうにか1年B組の教室にたどり着いたあたしはすぐに自分の机に向かい、プリントを手にした。


よかった。


あった。


安堵して教室を出ようとしたとき、急に太陽がかげり、教室内が暗くなった。


「雨が降りそう……」


さっきまでオレンジ色に包まれていた景色が、今では灰色に染まっている。


今日雨が降るなんて聞いてない。


当然傘の用意はしてきていないし、校舎に入ってからの肌寒さも続いている。


雨が降る前に帰らないと本当に風邪を引いてしまうかもしれなかった。


あたしはプリントを乱暴に鞄の中に押し込めながら、教室を出た。


そのまま新しい校舎の階段へ向かおうとして、一旦足が止まった。