《一穂:あたしは全然ダメだよ~! どれだけ近づいても、幸生はオカルトのことで頭が一杯なんだもん!》


不満そうな絵文字が一緒に添えられていて、プッと噴き出した。


確かに幸生は一番オカルトに食いついていたっけ。


でも、それもきっと一時のことだろう。


別の本にハマれば、それが例えば恋愛小説とかなら、今度は恋愛に興味を持ち始めるだろう。


そうなれば、幸生の近くにいる一穂はとてもいい位置にいるように思えた。


《一穂:でも、美知佳は本当にもうひと押しって感じじゃん!》


あたしはそのメッセージに首を傾げた。


《美知佳:どこが?》


《一穂:だって、階段から落ちそうになった後も、ずっと手を握ってくれてたじゃん》


《美知佳:それは、単純に心配だったんだと思うけど……》


あたしがあまりにボーっとしていたことが原因だ。


理解しているだけに、期待は少なかった。


《一穂:あれを見ててちょっと面白いこと考えたんだけど!》


《美知佳:面白いこと?》