「そんなことは起こらない。だけど、確かに光ったのになぁ」


あたしは首をひねって上りのボタンを見つめる。


自分でも何度か押してみるが、やはり反応はなかった。


「もしかしたら、雷の光に照らされて勘違いしたんじゃない?」


ふと閃いたように一穂が言った。


「雷の光?」


「そうだよ。昨日は雷雨がすごかったんだもん。ボタンはプラスチックで、外からの光でキラキラ光るでしょう? それを見て、勘違いしたんじゃない?」


もっともらしい意見に、あたしは曖昧に頷いた。


そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。


だんだん、自分が見たものが信じられなくなってきた。


4人で突っ立ってそんな雑談をしていると、担任の先生が「授業を始めるぞ。そんなところでなにしてる」と、声をかけて来た。


「そうだ、先生に聞いてみればいいんだ」