エレベーター

「亡くなられましたよね?」


そう聞いたのは充弘だった。


「あぁ。可哀想な事故だった。エレベーターの中で発作を起こして、僕が見つけたときには手遅れだった」


前原はなんでもないことのように言ってのけた。


その瞬間、胸の奥から怒りが混み上がって来るのを感じた。


うそつき!


自分が咲子さんを見殺しにしたくせに!


心の中でそう怒鳴りつけ、どうにか気持ちを落ち着かせる。


「本当に事故だったんですか?」


充弘が試すように聞いた。


「どういう意味だい?」


「すべてを知っていると言ったら、どうしますか?」


その質問に沈黙が下りて来た。


前原はあたしたちを値踏みするようにジロジロと視線を向ける。


居心地の悪さを感じて、あたしはソファの上でみじろぎをした。