エレベーター

しっかりと確認してみると、充弘の頭部から血が流れ出てコンクリートを赤く染めている。


それを見た瞬間「キャァッ!」と、短く悲鳴を上げた。


「美知佳……大丈夫だったか?」


充弘が苦し気な声で聞く。


あたしは何度も頷いた。


「あたしは平気! 充弘は、どうしてこんな……っ!」


途中から言葉がつむげなくなるような衝撃を覚えていた。


「一穂だ」


「え……?」


自分の耳を疑った。


でも今確かに充弘は『一穂だ』と言った。


「一穂が花壇のブロックで殴ってきたんだ」


そう言われて周囲を確認してみると、確かにブロックの1つが充弘の近くに転がっていた。


しかも、それにはベッタリと血がこびりついているのだ。


どうして一穂が……?


頭の中は真っ白でなにも考えることができなかった。


とにかく今は手当てだ。


あたしは充弘に肩を貸して、保健室へと急いだのだった。