エレベーター

「充弘から聞いたよ。ちょっと怪我したんでしょう?」


「うん。でももう大丈夫だよ」


あたしはそう返事をして鼻の頭に触れた。


もうほとんど痛みもない。


ちょっと大げさに血が出ただけだ。


「それならよかった。教室に来なくて心配したんだよ」


「ごめんね一穂。もう、教室にも戻るから」


あたしはそう言い、ベッドを下りた。


スカートがシワになっているのを手で伸ばして、鞄を手に取る。


結構眠ってしまったのか、頭はスッキリとした状態だった。


「じゃ、一緒にお弁当食べようよ。もうお昼だよ」


一穂にそう言われてあたしは目を見開いた。


午前中全部保健室で眠っていたようだ。


保健室の先生は起こさずにいてくれたようで、感謝してもしきれない。