エレベーター

☆☆☆

充弘が追いかけてくれたが、やはり犯人の姿はどこにもなかったらしい。


相手は幽霊なのだから当然のことだった。


「美知佳、怪我はなかったか?」


「少し血が出ただけ」


「念のため保健室に行こう」


ほっておいても大丈夫だと思ったが、充弘はあたしの手を握りしめると先を歩き出した。


廊下を歩く時も、保健室へ入る時も先に立って安全を確認してくれている。


「あら、鼻の頭から血がでるなんて珍しいわね? なにがあったの?」


白衣を着た保険の先生はあたしを見て不思議そうな顔をしている。


あたしは適当にごまかして手当てをしてもらった。


「少し顔色も悪いみたいだけど、授業出られそう?」


「これくらい大丈夫です」


そう声をかけて立ち上がった瞬間、思いがけず立ちくらみを覚えてまた座り込んでしまった。


「美知佳、無理はするなよ」


隣に立っている充弘が怒った声を出している。