エレベーター

行きかう車のヘッドライトが青ざめた一穂の顔を照らし出す。


あたしは小刻みに頷いた。


もしも乗用車があのまま真っ直ぐ突っ込んできていたら……?


そう考えて強く身震いをした。


そして、そっと顔をあげて周囲を確認する。


歩道には沢山の人が立ち止まっていて、信号が変わるのを待っている。


その誰もが驚いた表情であたしを見ていた。


この中に咲子さんがいるんじゃ……?


そう思って目を皿のようにして眺めたが、結局咲子さんを見つけることはできなかったのだった。