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「美知佳、大丈夫か?」


分かれ道まで差し掛かり充弘にそう声をかけられたので、あたしは頷いた。


一穂はあたしの体にもたれかかったままだ。


このまま一穂を家に送って行くつもりだった。


「大丈夫だよ。一穂の家は近所だから」


と言っても人1人支えながら歩くのは大変で、歩調はゆっくりになる。


でもそれは自宅に戻れば考えられないことを思案することができる時間になる。


あたしは咲子さんのことをじっくりと考えようと思っていた。


「気を付けて帰れよ」


充弘にそう言われ、あたしはまた歩きだした。


「ごめんね美知佳」


一穂が申し訳なさそうな声でそう言い、あたしから離れて1人で歩き出した。


「一穂大丈夫なの?」


「少し楽になった。ありがとう」


暗がりなので一穂の顔色を確認することはできなかったけれど、その声はさっきよりもしっかりしている。