届かなかったSOSボタン。


ファン第1号。


倒れた時の発見者……。


それらの単語が頭の中で結びつき、嫌な結末を導きだすのにそう時間はかからなかった。


あたしと光弘はハッと息を飲み、次の瞬間には男性が去って行った方向に視線を向ける。


男性はすでにどこかへ行ってしまい、痕跡を見つけることは難しそうだ。


「その、前原って人の住所を教えてもらえませんか?」


充弘がお母さんに頼み込む。


「でも、個人情報を勝手に流すわけにはいかないわよ」


「お願いします! なにか問題があったときには全部自分たちで責任をとりますから!」


どうにか前原という人と接触しなければならない。


そうすればきっと何かが見えて来るはずだ。


そう思い、あたしと光弘は深く頭を下げたのだった。