エレベーター

☆☆☆

すべてを話し終えた頃には1時間ほど経過していた。


話せば話すほど現実離れした内容に自分でも時折沈黙してしまうことがあった。


それに、思い出すという行為のせいで恐怖心が湧き上がり、言葉につっかえてしまった。


随分を時間をかけてしまったが、清田先生は決して途中で止めたり急かしたりすることなく、あたしの話を最後まで聞いてくれた。


「そういう事情だったのか……」


「信じてくれるんですか?」


充弘の言葉に清田先生は左右に首をふった。


「そんな話をそのまま真に受けることはできないだろう」


最もな意見に、落胆してしまいそうになる。


結局担任の先生と同じで自分たちのことは信用されないだろうか。


誰にも助けてもらうことができないのから、あたしたちはこの先どうすればいいのか……。


絶望のどん底に突き落とされた気分だった。


「でも、真剣に悩んでいるのはわかった」


清田先生はそう言うと事務室のドアを開けた。


あたし達に背を向けたまま棒立ちになる。


入れ、ということだろうか?