すぐに救急車で運ばれた幸生だったが、あたしたちが病院にいる間に目を覚ますことはなかった。


打ちつけた場所が悪かったようで、最悪の事態を考えておく必要があった。


帰り道は、誰1人として口をきかなかった。


一穂は放心状態で歩いているのが奇跡のようで、充弘はジッと前方を睨み付けている。


あたしは何も考えることができず、何度も何度も血まみれで倒れている幸生の姿を思い出していたのだった……。