「俺も、美知佳と同じことを経験してみたい。そして突き止めてみたいんだ。あのエレベーターで何があったのか」


幸生は真剣なまなざしで言い切った。


どうやら本気みたいだ。


「でも、ターゲットはあたしだよ? 幸生が残っていても、なにも起こらないかもしれない」


「そうだけど、やってみないとわからないだろ?」


幸生はあたしの言葉にも聞く耳を持たない様子だ。


「それならあたしが残る!」


一穂の言葉にあたしは目を見開いた。


この2人は本気でこんなことを言ってるんだろうか?


いくらビデオ通話で見ていても、自分自身が経験していないから実際の恐怖を知らないのだ。


「2人とも、これは遊びじゃないんだよ?」


あたしはついキツイ口調になって言った。


遊び半分でやるようなことじゃない。


「遊びだなんて思ってない。もしもエレベーター内になにかいるのなら、ソレは20年も昔からそこにいるってことだぞ? 早くどうにかしてやらないと、可哀想だ」