「エレベーター事故なんかも、なかったんですか?」


充弘が思いついたようにそう聞いた。


「さぁねぇ。そういうもの聞いたことがないね」


清田先生は顎をさすって答える。


エレベーターで事故が起こっていれば、あの場所で怪奇現象が起こることも納得できると思ったのに……。


「でも、昔は特別校舎だったからね。体が不自由な子は沢山いてそれが原因で何人か亡くなったりもしたよ」


清田先生はそう言うと、当時を思い出したのか目じりに涙を浮かべた。


そこにはあたしたち健常者にはわからない大変さや、楽しさが隠されているように感じられたのだった。