「仁菜子ちゃん、飲み物なににするの?」
「私は炭酸かな」
「やっぱり体育終わりは炭酸だよね。俺も買おうと思ってた」
ふたりのやり取りを横目に、俺は無言でその場から離れる。
睨むわけでも、邪魔するわけでもない。あの呪いの言葉が相当効いている。
「あ、私も行くね!ばいばい」
「おい、置いていくなよ!」
ぞろぞろと志乃と倉木が俺のことを追ってきた。
「仁菜子ちゃんとあのイケメン、かなりいい感じじゃね?」
無心でいようとしてる俺に倉木が水を差してくる。
仁菜に対して好意があるやつは、大体その行動や視線で簡単にわかる。
……速水は、おそらく仁菜に気がある。
まだ好きとかではなくても、確実に可愛いなとか、仲良くなりたいと思っているはずだ。
仁菜のことをずっと見てきた自信はあっても、留められるとは思っていない。
きっと、ああいう少女漫画のヒーローみたいな男に、あっという間に奪われていってしまうんだと思う。
「柊、今日さ、ララ見においでよ」
すると、志乃が唐突に誘ってきた。
「ララ?あいつ俺のこと引っ掻くじゃん」
「でも可愛いから癒されるよ」
「いてーから、やだよ」
そんな会話をしながら歩き進めているうちに、ふたりからはずいぶんと離れた。
なにを話しているかは、もう聞こえない。



