ごめん。ぜんぶ、恋だった。




「志乃ちゃんの髪の毛、可愛くていいな」

仁菜も体育の邪魔にならないようにとひとつに結んでいるけれど、まだ長さが足りないのでウマのしっぽのようになっている。


「仁菜子ちゃんの髪の毛が伸びたらすぐにポニーテールにやってあげるよ」

「本当?やった!」

なんだか一気に顔見知りが多くなってしまった。なんとなく嫌な予感がしていると、今度は爽やかなやつが歩いてきた。

「あ、速水くん」

仁菜がすぐに反応する。


男の俺が言うのはおかしいけれど、速水の顔面偏差値は日に日に上がっている気がする。

体つきもでけーし、身長もたけーし、本当になんでこんなやつが仁菜の近くにいるんだろう。


「橋本先輩、境井先輩、こんにちは」

しかもしっかりと挨拶をしてくるほど、礼儀正しいなんて、ズルすぎだろ。

無視するのはさすがに大人げないと思ったので、平常心を保ちながら「どうも」と、言い返した。