ごめん。ぜんぶ、恋だった。




「速水には言ってねーんだ。俺たちの血が繋がってないこと」

その日の夜。珍しく俺と仁菜の見たい番組が一致して、ソファに寄りかかりながらテレビを見ていた。 

「速水くんだけじゃなくて他の人にも聞かれない限り自分で言ったりしないよ」

たしかにそうだ。俺だって倉木にわざわざ話したりはしない。


「ってか、それどうしたの?」

夕食の時から気になっていたけれど、仁菜は見たこともない部屋着を着ている。

それは今まで着ていたダサいものではなく、もこもことした手触りの良さそうな服だった。


「これね、志乃ちゃんとお揃いで買ったの」

「いつ?」

「GWの時に志乃ちゃんとデートしたんだ。言っておくけどお兄ちゃんより私のほうが志乃ちゃんと仲良しなんだからね!」

「べつに張り合ってねーし」

なんだか仁菜からいい匂いもするし、色々と志乃から教えてもらったんだろうか。


……なんのために?

あんなに男に間違われていたっていうのに、仁菜は日に日に女らしくなっていく。


「お前さ、あいつのこと好きなの?」

「え?」

「速水のこと」

きっと他の男でも危機感は沸いただろうけど、一目見た時から速水はヤバいと感じていた。

容姿も性格も良さそうだし、仁菜が惚れる要素は十分にある。


「す、好きなわけないじゃん。友達だよ、友達!」

仁菜は不自然に前髪を触っていた。