ごめん。ぜんぶ、恋だった。




「は?付き合ってねーし」

「え、でも仁菜子ちゃんが……」

すると、仁菜は食べ終わった弁当箱を包みながら、速水の言葉に付け加えた。


「クラスメイトの女の子たちにお兄ちゃんの連絡先をしょっちゅう聞かれるんだよ。だからお兄ちゃんには志乃ちゃんっていう美人の彼女がいるからダメだよっていつも断ってるの!」

ただでさえ俺たちがデキてるって思っている人のほうが多いっていうのに余計なことを言いやがって。


「速水くん、残念だけど私と柊はただの幼なじみなんだよ」

幼なじみエピソードなんて身内しか盛り上がらないのに、志乃は俺たちが同じ病院で生まれたことまで速水に教えていた。


「ってことは、仁菜子ちゃんともずっと一緒ってことですね!」

そんな声に俺たちは顔を見合わせる。


志乃が仁菜と出会ったのは、もちろん俺たちが兄妹になった小三の時。

それ以前の仁菜は山ばかりに囲まれた場所に住んでいたらしいけれど、その頃の仁菜のことは俺でさえも知らない。


「うん。志乃ちゃんともお兄ちゃんとも小さい時からずっと一緒だよ」

そう言って話を終わらせたのは仁菜だった。