「仁菜子ちゃん、今日は弁当なんだね」
「うん、お母さんが作ってくれたんだ」
「そうなんだ。美味しそう!」
「へへ、でしょ?」
人見知りだったはずの仁菜は、速水にずいぶんと心を開いているように見えた。
普段はスカートなんて気にせずにあぐらをかくタイプなのに、今はちょこんと足を閉じて座っている。
しおらしい表情をしていると思えば、ほんのりと目の上がキラキラとしていた。よく見ると、唇も淡いピンク色をしている。
……化粧?
仁菜は今まで化粧なんてしたことはなかった。
メイク道具だって持っていなかったはずなのに、いつ買ったんだろう。
速水のために、買った?
見せたくて?可愛く思われたくて?
ああ、ダメだ。思考がどんどん卑屈になっていく。
俺が悶々としているあいだにも、三人はとても打ち解けたように話していた。
いつもならあっという間に過ぎてしまう昼休みも、今日はすごく長く感じる。
「それで、おふたりは付き合ってどのくらいになるんですか?」
突然、速水に話を振られた。
前後の話を聞いていなかったけれど、明らかに視線は俺と志乃のほうに向いている。



