俺は開いていた教科書とノートをカバンに入れて、そそくさと席を立った。
……仁菜のやつ、委員会に入ったんだ。
しかも面倒だって噂の図書委員会なんかに。
『高校では部活をしないからお母さんの手伝いがいっぱいできるよ』なんて調子がいいことを言っていたくせに、あいつは頼まれると断れない。
おそらく委員会決めの時に流れで任せられてしまったんだと思う。
予定よりも早い時間に帰宅すると、玄関で仁菜と鉢合わせになった。
「あ、お兄ちゃん、おかえり」
ダサいトレーナーにパーカーを羽織っただけというラフな格好で、仁菜は出かけようとしていた。
「どこ行くんだよ」
「なんかね、今日はポトフなのにお母さんがコンソメを買い忘れたんだって。だからコンビニに行くところ」
「じゃ、俺もいく」
「えーいいよ。すぐそこだしさ」
「バカ。俺もコンビニに用があるんだよ」
そう言って再び外に出る。外灯がぽつりぽつりとある道はかなり薄暗い。前から走ってくる自転車のライトがとても眩しく見えた。
「お前さ、図書委員に入ったの?」
仁菜とこうして夜道を歩くのは久しぶりだ。
昔はどこに行くのにも俺の後を付いてきていたけど、成長とともにそれはなくなった。



