「おはよう」

電車を飛び降りると俺よりはるかに小さなソイツの頭に手を乗せる。

俺の手を払いのけると、不服そうな顔で俺を見上げながらも親にしっかりと教育されているのだろうきちんと

「おはようございます」

と挨拶を返してきた。

ほぼ毎朝、駅の改札を出て最初の交差点まで一緒に登校するようになってそろそろ一年になるだろうか。

同じ最寄り駅の、有名進学小学校に通うコイツは、通学電車が一緒で顔見知りではあるが名前は知らない。

「お母さんが知らない人には教えちゃいけないっていってるから」

申し訳なさそうに眉毛を下げて困った顔をしていたコイツは最近は少し生意気だ。

”大好きなお気に入りのお姉さん” に興味がある俺を敵対視しているようだ。