俺は姫莉ちゃんの手を引いて、ホームの1番奥、誰にも見えない死角に連れ込んで、抱きしめた。


「ゆ、みくん…?」
「ごめんね、泣かせちゃってごめんね。
最低なことして、ごめん。
大丈夫だから、フッたりしないから。
だから、泣かないで?」


大きな目を見開いて、俺の行動にびっくりした様子の姫莉ちゃん。
俺は親指であふれた涙を拭うと、チュッとキスを落とした。


「ごめんね、もう絶対しないから。
そんな、泣かないでよ…」


いつもだったら、前までだったら、こんなふうに泣かれたって、あ、俺は君にそんなの求めてないから、ってすぐにバイバイできたのに。
…無理すぎる。姫莉ちゃんがいなくなるなんて、考えるだけで、血反吐もの。
姫莉ちゃんが死ぬって言ったら俺も死にたくなるくらいに、姫莉ちゃんから離れられなくなってる。


「悪いことした俺が言うのも、あれだけど…我慢とか、しないで?思ってること全部言って?
全部受け止めるから、嫌なとこ全部直すし、だから、俺のこと無視しないで?」


姫莉ちゃんは、俺の胸にギュッと顔を押し付けた。


「…私以外の女の子、見ないで。
連絡先もダメ。ナンパなんてしないで。
私のことだけ、好きでいて?」


姫莉ちゃんは掠れた声でそう言った。


「うん、しない。絶対しないよ」
「約束…」