「シたい…」


ボソッと呟かれたその言葉。
姫莉ちゃんの口からぽろっと、そう聞こえた。


姫莉ちゃん、わりと頭の中が変態なのかもしれない。


「元気になったらいくらでもできるよ」
「…今がいい」


ギュッと、俺のTシャツを握る姫莉ちゃん。


「なんかあった?」
「…ゆみくんに会えると思ってたのに、会えなかった」



……可愛い。
なにこの子、え、可愛い。
姫莉ちゃんこんな子だったっけ?


いや、表の顔は明らかにこんな感じだけど、それは可愛こぶってるだけで、裏はもっとサバサバしてるっていうか、ツンツンしてるっていうか…。


「調子悪いと、こんななるの…?」
「調子悪くないもん」


いや、明らかに悪いでしょ。
体温高いもん。


「姫莉ちゃん、もう寝な?
早く治そ?」
「やだ…離れないで」


顔は見せてくれない。
どんな顔でそんなことを言ってるかはわからないけど、とりあえず可愛い。


「うん、ここにいるよ?」
「だめ、ゆみくんが足りない」
「でもさっきから体温上がってるよ?」
「だめなのっ」