「弓弦でした、ごめんね」
「…へ?ゆみくん?」


チラッと布団から顔を出す姫莉ちゃん。
久々のノーメイク、なんだか幼く見える。


「なんで…」
「店長に聞いた。
調子悪いなら言ってよ、心配するでしょ?」


布団の中の姫莉ちゃんを覗き込むとバサッと布団を被り直された。
俺はそれに抵抗してペラっと顔のあたりだけめくる。



「…ちょっと頭痛かっただけだから、1日経ったら治るんだと思ってたんだもん」


しゅんっと俺の顔をチラチラ見つめる姫莉ちゃん。



「ゆみくん、甘えたい」


モゾモゾと起き上がって、俺に向かって両手を広げる姫莉ちゃん。


小悪魔、だなぁ。
でも多分、この嬉しそうな顔は計算してやってるんだよね〜。
可愛くないなぁ、可愛いけどさ。


「ん」


おいで、可愛い姫莉ちゃんを甘やかして生きてくって決めたんだもん。可愛い。


ぎゅーっと、姫莉ちゃんを抱きしめる。
姫莉ちゃんもぎゅって力を入れて、俺の足の上で首に顔を埋めた。


あー可愛い。可愛い可愛い、なにこの甘えたちゃん。
やだ、離したくない、かわいい。