初めて話すタイミングがあったとき、確か…入学して3日目くらいかな?
俺のノートの表紙に書いてある名前を覗き込んで、「ゆ、ゆみ、ゆみげんくん…?え、ほんとに?」と、ガチの顔して言われた。

“ゆずる”だよって教えてあげたら、「そっか」と納得はしてくれたものの、次話すときにはもう“ゆみげん”でインプットされてて。
ゆみくん、なんて可愛いあだ名つけられてしまった。可愛い。失礼な話すぎるけど。
声が可愛いから許す。


「へぇ…でも、頭いいんだろあいつ。
特待枠で入学してるらしいし」


入学してすぐにあった学力テストの、中学の復習みたいなやつね。
あれの結果が張り出されたとき、1番上にあった名前は“芦名姫莉”の4文字。
人は見た目通りだね、賢そうなナリして、賢いんだから。


ちなみに俺は下から数えた方が早かったよね、頭悪いから。



「天然なんだろうね」


芦名、姫莉…。
俺が落としたことないタイプ。


真面目そうで、頭良くて、でもちゃんと地味子ちゃん。


なんか面白そう。いーじゃん。


「きーめた。次、あの子ね」