「澄珈、どんくらい遊ぶ?」


10メートルくらい、離れたとこから叫ぶ。
澄珈は俺の声に反応して振り返った。


「あっ、ゆーちゃん、あのね、えっと…いっぱい!」
「ん、ゆっくり遊んどいで」


澄珈は割と集中しちゃうと周り見えなくなるタイプだから。
早めに存在を認識してもらわないと、全然帰ってくれないんだよ。
花ちゃん、よく帰ってこないし。

砂場の近くに立つと、向こうの方から男の子が走ってくるのが見えた。


「茉莉(まつり)、帰んない…?」
「もうちょっと!」
「で、でも…」


あ、女の子の尻に敷かれるタイプだこの子。
似ている2人のちびちゃんたち。
兄妹かな?


「お、おねーちゃんが、帰りたいって…」
「ん?」


よく見ると2人とも、目の色素が薄い。
鼻も高くて、なんだかハーフみたいだね。


茉莉、と呼ばれた女の子は男の子が来た方を振り返って、結局また、澄珈と遊び始めた。
俺も、女の子の視線の方に目を向ける。


…と。