叫び散らす、姫莉ちゃん。
いつもの面影はない。


それに、この子の、口ぶりじゃ、まるでさ。
俺が、昔…姫莉ちゃんと、ヤったみたいな……さ…?
そんなこと、ある?


「…中学の時、重たいって彼氏にフラれて公園で泣きじゃくってた私にゆみくんが声かけて来たんだよ?
散々話聞いてもらった後、私、初めてだったのに、もーなんでもいいやって思っちゃって流れに任せた。


そしたらさ、私が初めてって気づいたゆみくん、めちゃくちゃ謝って来て。
もーいーんだよ、って言ったらさ、だよね、って言われて。
なんだこいつって思ったよ?思ったけど…その後。


『まーでも、ひめちゃんのことどーでもよく思ってる塵みたいな男に初めてあげたわけじゃないからマシだよね』って。


あ、この人はどーでもいいとは、思ってないんだって。単純な私は思っちゃったんだよ、そーゆーとこが重いんだろーね。知ってるよ。


でも結局さ、私その言葉だけに縋って生きて来ちゃったんだよね。
たまたま高校で再会した時、あー運命かもしれないって柄にもなく思っちゃって。


なのに、ゆみくん私のことなーんにも覚えてなくて。
……あの日私、ゆみくんのことめちゃくちゃ嫌いになったよ。
名前くらいは覚えてくれるかもって、思ってたんだもん」