,,ピシッッ,,パァン,,


「ごめんなさい…ゔゔぁぁー…御母様お許しください!もうやめてください!」


少しでも身体を庇う様に、丸まった形に自然となるものだから、いつも背中が標的になります。


「ダニエラさん?何をおっしゃているのか、解らないんですけれども。貴女は何かいけない事でもされたの?」


,,ピシッ,,パン,,ピシッ,,ピシ,,
御母様は笑顔でムチを打ち鳴らします。


「,,ゔづっっああああああああー」
すみませんお許しください!!」

「貴女先程から謝ってばかりですね、よくわからないわ」


今日も御母様は、御母様の寝室の奥にある立派な衣装部屋に呼び出し、笑顔で私にムチを打ち鳴らします。理由などは無いのです。御母様の気分次第なのです…今回は機嫌が悪い様で、いつもより回数が多い様に思います。

私の身体は、ムチ打ちの後がミミズ腫れになって、腫れが引かないうちにまた打たれます。 そのまま痛みに気絶しても、メイド数人を呼びつけて私の寝室迄連れて行かせます。気絶したまま一日中目が覚めない事も、数回経験があります。 手当はして貰えますが、又すぐムチをふるわれますから癒えるわけなどありません。

御母様も以前は優しい方でした…

私の旦那様ノース・キンダム様は、とにかく優しい方で、周りの方からは取り柄のない地味なノース様と結婚するなんて、と言われたりもしましたが、こんな卑屈な性格の私を、暖かく受け止め包んで許してくれるのは、ノース様しか居ません。

私の御姉様に対する気持ちを、打ち明けた時も、優しく諭してくれたのです。私が御姉様に謝りたいのなら一緒に行ってくれるとまで、言ってくれました。 御姉様が結婚した時は、私が一番歪んでいた時期で、私の負の感情を全て御姉様に向けてしまいました。今考えるとなんて事を言ったのかと、反省しているのですが、性格的にも謝ることができなくて……

御姉様を見かけると、怖くて会いたくなくて逃げてしまいます。もうライアン様にも気持ちは無く、今考えると初恋だったのかもしれません…

御姉様は優しい方なので、いつも私の事を、許してくれていたので甘えていたのでしょう。御姉様が結婚した後も、嫌がらせの手紙や贈り物を送ってしまったのも、今考えるとなんて事をやってしまったのかと……

私の結婚式の時、謝ろうとは思っていたのですが、無理でした…後悔ばかりしてます。

ノース様が一年前、騎士団の御役目で海の向こうの隣国ウェブゼンへ行き。半年後、御父様キンダム伯爵様が、急な心臓病で急死してしまってから御母様の様子がおかしくなり…

こんな事誰にも相談できなくて…

ニコラスだけには被害が向かないように、今は実家の辺境に預けています。

そろそろ私の身体も、ムチ打ちに耐えれなくなりました…執事やメイドも心配してくれてはいますが、今の屋敷の状態にどうする事もできないのです。伯爵家という家柄、こんな不名誉な事。 旦那様もいらっしゃらない今、御母様が女主人と言うことになります、どうする事もできません。 それに、恐怖が強くまともに考えれません…

…ノース様……逢いたいです………たすけて。