「‥‥叶わないってわかってる‥‥。
でも嫌いになれないんだよ‥‥。
分かるでしょう、暁なら。雨花ちゃんのこと、忘れられないんでしょう?」
語尾が震えている。澤原を見ると、目に涙を溜めていた。
「‥‥ああ」
そのまま、何も話さず海に着いてしまった。
「叫べば?」
「‥‥はい?」
「誰もいねえよ。叫べば?」
澤原は少し迷ったあと、大きく息を吸った。
「バカ——————!!」
「うおっ!」
マジでめちゃくちゃ大きい声で叫ぶからビックリする。
「ほら、叫びなよ。私も叫んだ」
俺は堪忍して、大きく息を吸った。


