「来乃笑、『好き』って何だと思う?」
学校に向かうとき、ふと思い出して聞いてみる。
来乃笑は少し、考えた後で言った。
「・・・相手のことを、いつでも大切に思うこと」
それ、私が言ったことそのまんまじゃん。
そう言おうとした後付け足した。
「あと、そばにいたい、話がしたいって欲が出てくること、じゃないかな」
私はびっくりした。
何年も隣にいたはずなのに、来乃笑が全く知らない人の顔に見えてしまったから。
「来乃笑は・・・誰かを好きになったことがあるの・・・?」
私は震える声で問う。
「わかんない。ただ、今まで感じたことがない気持ちになった」
来乃笑は、私よりも断然大人に見える。


