「あ…」 昇さんのフィルムだ。 返しそびれてハーフパンツのポケットに入れてたのを、いつだったか軍服に入れ替えてたんだっけ。 すっかり忘れていた。 「これも…あたしがここで死んだら、せっかく撮ったのに無駄になっちゃうね……」 こんなふうに離れちゃう前に、ちゃんと返しておけばよかった。 そう思うのに、昇さんと一緒にいた証みたいに感じて、胸が熱くなった。 昇さんに、会いたいよ……