山根さんはだんだん血色を取り戻してきて、良く眠っている。 だけど… 向井さんが衰弱しきっていた。 「なあ、向井。お前に言わなきゃならないことがある」 向井さんの頭のそばに座った昇さんが、蒼い顔で重苦しく口を開いた。 「…わか、ってます…よ。そ、んな顔…しないでくだ…い」 「明朝、一緒に発てなければ、俺たちは先に行く。お前は…体調が戻り次第、後から来い」 「昇さん、そんなの無理でしょ!ひとりじゃ食べるものだって…っ」 「弥生ぢゃん」