「そうだね、写真って、あとで見るとすごく楽しいよね」 「だろ?」 「あたしも撮ってよ?」 「もう、全部撮り終わってるんだ。すまんな。海でお前を撮ったのが最後だったと思う」 昇さんはカメラの蓋を開けると、単一電池みたいな円筒状のものを取り出して手渡してくれた。 「え、これ何?」 「フィルムさ。未来にはないのか?ははは。さて、と。腹がまた減らないうちに寝るぞ。夜が明けたら出発だからな」 「え、あ、うん…と」 「ん?ああそうか」