もう優秀な操縦士も充分な燃料もなくて、と言いそうになって、慌てて口をつぐむ。 負けたって、わかってしまう。 「この無茶めの作戦で日本が勝ったんだよ。今の時点だとまだ行われてないのかも」 「そうか…楽には勝たせてもらえないんだな、体当たり前提で飛ぶなんて」 昇さんの表情は、もう暗くてよく見えない。 だけど、それまでの明るいトーンの声ではなくて。 木の上の鳥たちも巣に帰ったのか、静まり返る森の中で昇さんの声が重く響いた。