泥だらけの手だってことも忘れて、あたしは自分の頭を探る。 いく…お… あたしの、名前… 「手をどけてろよ。髪は女の命というが、許せ。軍規じゃ坊主なんだ。生きてりゃまた伸びる」 「う…うん」 刃が、頭皮を滑る。 頭、切れないかな… ヒヤヒヤしながら、落ちる髪をただ眺めた。 頑張って伸ばしたのに…