「全く…此処は何処…?」


岩が連なっているダンジョン。

黒髪の少女は最悪にも道に迷ってしまったのだ。


「…家に帰りたい…。」


そう呟くも叶う訳はなく。

ドボドボ、とゆっくり歩き出す。


ピタッ。

少女の耳に誰かの声が聞こえた。

しかしこれで捕まってしまっては
元も子もない。

そう思い出来るだけ近づいて
見つからない距離に居ようとした。

岩陰に隠れてナイフを手に構える。

武道に自信はないが無いよりかはマシだろう。


(…なっ!?)


少女がそう思ったのは当然。

フードを被った少年が一瞬でかなりの大人数を
ぶっ倒したからだ。

フードで顔は見えないが此奴に関わらないように。

そう思って逃げようとしたその時。

彼のフードが風で脱げる。

その顔を見た瞬間に少女の体は固まった。

何故ならお尋ね者の少女だったからだ。


「ねぇ君。君って頭いいでしょ?」


少女は返事をしない。

手で口を覆い息を殺す。

見つかったら終わりだと思ったからだ。

ふと、誰かに肩を叩かれる。

振り返るとお尋ね者の少女が立っていた。
 

「ボクと組まない?」


『…え?』


少女の口から思わず素っ頓狂な声が出る。





























それが二人の最悪の出会いだった。