此処が、『神代の郷』…。

私は目の前の楼門(らしきもの)を見上げる。


(綺麗だなぁ…。)


率直に感じた感想だった。

長年外に出ていないからなんだか不思議だ。

とは言っても本当は何も感じないのだけれど。

私は精神病だ。

病名は確か「総合失調症の陰性症状」。

幻覚や妄想などが特徴的な症状だったかな。

…どうでも良いけど。

そんな事を考えていたら楼門らしき物が開く。

ギィィィ…。

かなり古いのか軋む音がする。





























「理事長様!!お帰りなさいませ!!」




























「…え」


驚いていないと言えば嘘になる。

少し驚いた。

其処には理事長を囲む美女達。

…この人、モテるんだぁ…。



…ああ、質問の意味は此れか。

一緒に入ってきた私は絶対にこの女共に
恨まれるし、嫌われるだろう。

その証拠に女共の視線が私を睨んでる。

なんだ、こんな事を心配したのか。

別にこれくらいはどうって事ない。

何も感じないのだから。


「理事長様、誰ですあの女…。」


「あ、ああ今日付で『神代の郷』に新しく
 入ってきた子だよ。」


「えー!!女はもう増やさないで下さいよ!!」


「そう言う訳にはいかないんだよ〜。」


すごい反論するなあの女共。

まぁ、どうでも良いか。


「…私は何処に行けば?」


さっさとこの場から離れたい。

しかしそんな細やかな願いは叶うはずもなく。

私の前に女共が集まる。


「ちょっとアンタ理事長様に気安く
 話しかけてんじゃねぇよ。」


「そうよ、この余所者が!!」


「…来たくて来たわけじゃない…。」


つい、口から溢れでた。

その言葉は彼女達の地雷を踏んだようで。


「じゃあ今すぐ出て行きなさいよ!!」


1人の女が私に掴みかかってきた。

私は別にどうでも良いので抵抗はしない。







「彼女は能力者だ!!」